時間湯は神聖な所です。
足を踏み入れた瞬間から、神社拝殿での参拝と同じく神聖な気持ちを持つ場所なのです。
入浴前に神棚に向かい拝礼し入浴に備えます。
これは治療には大切な素直な気持ちを芽生えさせる大事な行事となります。
次に、草津節や湯もみ歌などを謡いながら湯もみをしますのは、高温の湯を冷ましたり温泉を柔らかくしたりの目的でもありますが、ほかに隠された重要な意味、腹式呼吸を知らず知らずのうちにしているという事になります。
入浴前の大事な準備運動をも兼ね、治療には不可欠な腹式呼吸をもしている。
先人の体験から生まれた智恵なのです。
湯長の号令ですが、例えば"そろってさんぷ〜〜ん"と言いますと、浴客は"お〜〜"と返事を致します。
この"お〜〜"も腹式呼吸になっております。
神社でも神官が"お〜〜"と言いますし、弓道でも流鏑馬の時に大きな声で"お〜〜"と言います。
浴客のこの"お〜〜"は正に神事(日本人の智恵)だと思います。
話は前後しますが、入浴前のかぶり湯は、湯あたり防止なのですが,私は『お祓い』の意味も有ると感じております。
お祓いとは自分の我欲を捨てるということだそうですから、湯治の期間は俗世界とは一線を画し清々しい生活をする一時期なのです。
湯治の期間はすべてがお祓い(治療)と考えたらよいと思います。
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